STEAM教育とは?グローバル教育の現状と課題【前編】
ここ数年、グローバル化やグローバル教育という言葉をよく目にするようになりましたが、実際にどのような意味なのかをご存知ですか?実は10年以上も前からグローバル化に向けた学校教育の動きは始まっていました。少しずつ成果は出てはいるものの、まだまだ課題は残っている現状です。
また、最近では新たにSTEAM教育が登場し、今回の2020年の教育改革ではその考え方も取り入れられています。2020年の教育改革まであとわずか、本格的なグローバル教育が始まる前に、しっかりと理解を深めておきましょう。
そこで今回は、グローバル教育の現状と課題、そしてSTEAM教育について【前編・後編】に分けて解説していきます。【前編】では、本題に入る前にグローバル教育の意味とグローバル時代に求められる21世紀型スキル、そして日本でのグローバル教育の変遷ついてご紹介します。
グローバル教育とは?
グローバル教育≠英語教育
グローバル教育と聞けば、英語教育を思い浮かべる方が多いかもしれません。2020年の教育改革も今では大分浸透してきており、英会話教室の広告などでその文言を見かけますから、そのようなイメージが強いですよね。
しかし、もちろんグローバル教育とは英語教育という意味だけではありません。
グローバル人材を育成する教育
グローバルには、世界的な規模という意味があります。今後ますますIT技術や交通手段が発達することで、人や物、情報の各国間の国境が曖昧になり、経済社会が世界的な規模で発展していきます。
つまり、今までは日本国内で完結していたものも、もうその規模では収まることがなくなっていくということです。むしろその規模で収まることができてしまうのなら、日本はグローバル化についていけていない、ということになってしまいます。
日本も世界経済の一員として対等に参加していけるよう、グローバル化に対応できる人材を育成していこうというのがグローバル教育の意味なのです。
グローバル人材に求められる力とは?
「21世紀型スキル」を持つ人材
さて、グローバル教育がどのような教育のことかはわかりましたが、「グローバル教育でグローバルな人材を育成していく」というのはあまりにも抽象的でその意味が曖昧ですね。ここでは、グローバル人材とはどのような人材を意味するのかをご説明していきます。
文部科学省はこれまでもグローバル社会に対応できる人間像について言及してきており、その中で 「生きる力」や「学士力」という言葉を使用し、育成する力を表しています。
各国でもグローバル社会で育成すべき力は定義されており、アメリカでは21世紀型スキルが提唱されています。
日本でも「21世紀型スキル」という言葉は多く使用されており、グローバル人材を育成するために必要な力のモデルの一つとなっています。
「21世紀型スキル」のはじまり
2002年、アメリカではIT企業等の指導の下、非営利団体「パートナーシップ フォー21stセンチュリー スキル(P21)」が設立され、グローバル社会での新しい力についての検討が始まりました。
2009年にはロンドンで、インテルなどをスポンサーとし、「21世紀型スキルの学びと評価プロジェクト(ATC21S)」が始動。
その後2010年にはイギリスやアメリカを始めとする6か国がプロジェクトに加わり、21世紀型スキルが定義されました。
21世紀型スキルとは?
21世紀型スキルには、4領域10スキルがあります。
1. 思考の方法
(1)創造力とイノベーション
(2)批判的思考、問題解決、意思決定
(3)学びの学習、認知プロセスに関する知識
2. 仕事の方法
(4)コミュニケーション
(5)チームワーク
3. 仕事のツール
(6)情報リテラシー
(7)ICTリテラシー
4. 社会生活
(8)地域と国際社会での市民性
(9)人生とキャリア設計
(10)個人と社会における責任
これらのスキルを要約すると、知識(Knowledge)、技能(Skills)、態度(Attitude)、価値(Values)、倫理(Ethics)と分類できることから、頭文字をとって「KSAVEモデル」とも呼ばれています。
また、今日本では4つめのスキル「コミュニケーション」として英語を、6・7のスキルとして「情報・ICTリテラシー」に着眼した教育を始めようとしています。
日本では?グローバル教育の変遷
2000年に始まった国際理解教育
日本でのグローバル教育の始まりは2000年にさかのぼります。2000年に始まった学習指導要領の改訂では「総合的な学習の時間」が導入され、その内容に国際理解教育が明記されました。
2010年に始まった改訂では小学校5・6年からの外国語活動が導入され、英語教育の早期化が始まることとなりました。
2020年教育改革
そして今回2020年から小学校で全面実施がスタートする2018年の改訂では、21世紀型スキルのコミュニケーションや情報・ICTリテラシー習得に力を入れた改訂となりました。
小学校の外国語活動が3・4年からとなり、5・6年からは外国語が教科となります。また、日本の伝統文化や理数教育の充実、そしてプログラミング教育を含む情報活用教育が改訂のポイントとなっています。
まとめ
さて【前編】では、グローバル教育の意味とグローバル時代に求められる21世紀型スキル、日本のグローバル教育の変遷についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
コミュニケーションスキルや情報・ICTリテラシーを含む21世紀型スキルを持った人材育成を目的とするのが「グローバル教育」であり、2020年の教育改革からはそれらの習得により力を入れ始めたことがわかりました。
【後編】ではいよいよ、グローバル教育の現状と課題、STEAM教育についてご紹介していきます。
〈参考〉
文部科学省:グローバル化と教育に関して議論していただきたい論点例
内田洋行教育総合研究所:意外と知らない”21世紀型スキル”(vol.2)
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