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2020年小学校英語教育の変更点と問題点!早期英語教育は必要?【後編】

さて【前編】では、小学校での英語教育の変更点を解説しました。2020年の英語教育では「話すこと」の領域がより重視され、「読むこと」「書くこと」の学習もスタートすることがわかりましたね。

【後編】では、2020年英語教育での中学校以降の変更点と新しい英語教育の問題点、そして早期英語教育の必要性について解説していきます。

中学校以降の変更点は?

出典:photoAC

中学校以降はどうなる?

中学校からオールイングリッシュ授業がスタートします。それに伴い高校ではディベートやプレゼンテーションなどより高度な言語活動を行っていきます。高校卒業段階で英検2級~準1級を取得できるレベルを目標としています。

また、現在中学校で習得する語彙数は1200語ですが、2020年からは1600~1800語になります。高校でも現在の1800語から2500語まで上限が増やされましたので、小学校、中学校、高校を合わせると、現在よりも2000単語も習得単語数が増えることになります。

大学入試も変わる

2020年度より、センター試験は大学入学共通テストと名称が変更されます。英語では、4技能(読む・聞く・話す・書く)を評価する試験へと移行する計画で、移行期間は2020年度~2023年度に設定されています。

ただし、大学入学共通テスト(現・センター試験)で4技能を測定するのは現実的に困難なため、「話す」「書く」の評価には外部試験を利用していく方針です。移行期間は、大学入学共通テスト(リーディング・リスニング)に加え、英検やTOEICなど大学入試英語成績提供システムに参加する民間団体の結果を入試に利用でき、一方か双方かは各大学の裁量で決定されます。

大学入試の英語は、2024年度以降全て民間団体の試験に委託される予定で計画が進められています。

2020年英語教育の問題点


出典:photoAC

小学校教員の英語指導力は大丈夫?

小学校3,4年生から外国語活動、小学校5,6年生から外国語科となることで最も心配な点は、「小学校の先生は、英語を教えられるの?」ということではないでしょうか。実際に、文部科学省は小学校教員の英語力を調査した結果を公表しています(平成29年12月1日付)。

〔小学校教員の英語力データ〕
英語免許状を所有している割合:約5%
1年以上の留学経験がある割合:約0.8%
英検準1級以上を取得している教員の割合:約1%

まだ英語指導を前提とした採用試験を受けている教員は少ないので当然の結果とも言えますが、どの項目も10%を満たしていません。担任が中心の指導となる以上、現状のままでは不安は拭い切れませんね。

授業時間の確保は大丈夫?

【前編】でもお伝えした通り、2020年からは小学校3,4年生では週1コマが外国語活動の時間となり、小学校5,6年生では週2コマが外国語科の時間となります。これまで小学校5,6年生では週1コマで外国語活動を行ってきていたので、小学校3,4年生の授業時間の確保は現実的です。

しかし、現在の小学校5,6年生の時間割に、更に週1コマ分を増やすとなると、授業時間の確保が難しいのが現状です。ほとんどの学校では小学校5,6年生は5時間授業が2日間、6時間授業が3日間という時間割で、2日間の5時間授業のうち1日は委員会やクラブ活動、1日は職員会議に充てられるなどしています。

そのため、委員会やクラブ活動、職員会議の時間を確保しながら、外国語科の授業を増やすとなるとかなり詰まった日程となってしまい、モジュール授業(朝時間など15分程度で行う分割授業)や土曜授業の再開を検討している学校もあるようです。

しかし、現在小学校の朝時間は読書活動などに使用されていることも多く、土曜授業も行事や授業参観との兼ね合いから外国語科に充てる時間を取りにくい現状です。

どのように週2回の外国語科の時間を確保するのかが、早急な課題となっています。

そもそも早期英語教育は必要?


出典:photoAC

早期英語教育については様々なメリットやデメリットがあるとされており、批判的な意見も少なくありません。

しかし、文部科学省が2004年頃に発表している海外の英語教育の状況のデータでは、フランスや韓国、中国、台湾では小学校3年生から、タイやドイツでは小学校1年生からの外国語が必修となっています。これは2004年の段階でのデータですから、日本は約15年も遅れを取っていることになります。

また、EF EPI英語能力指数で上位2か国のスウェーデンとオランダでも、早期英語教育が行われています。2か国とも小学校1年生頃から日本でいう外国語活動が始まり、小学校4年生頃からは日本でいう外国語科が始まります。

早期英語教育が英語力を伸ばす要因だとは言い切れませんが、この結果から少なくとも悪影響を及ぼしていないことがわかりますね。

まとめ

さて、【後編】では、中学校以降の変更点と新しい英語教育の問題点、そして早期英語教育の必要性について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。

これまでは英語が話せるように!という目標がありながらも、大学入試には話すテストがないというちぐはぐな状況でしたが、今後改善され目的を持って学習することができそうですね。

教員の英語力や授業時数の確保などまだまだ課題はありますが、日本の英語教育が良い方向に変化しているのは確かです。先の見えない不安もありますが、親としてできることは何なのかを考え、実践していくことが、今の私たちには必要なのかもしれません。

〔参考〕
平成29年度公立小学校・義務教育学校(前期課程)における英語教育実施状況調査【集計結果】
これからの小学生に必要な英語学習とは?:SAPIX
5・6年の英語「週2」どう確保
世界規模の英語能力ベンチマーク「EF EPI英語能力指数2018年版」が公開:PR TIMES
Factors influencing success in teaching English in state primary schools:BRITISH COUNCIL
海外教育事情 スウェーデン便り:CLASE
諸外国における小学校段階の英語教育の状況:文部科学省

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