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STEAM教育とは?グローバル教育の現状と課題【後編】

さて【前編】では、グローバル教育の意味とグローバル時代に求められる21世紀型スキル、2020年教育改革についてご紹介しました。コミュニケーションスキルや情報・ICTリテラシーを含む21世紀型スキルを持った人材育成を目的とするのが「グローバル教育」であり、2020年の教育改革からはそれらの習得により力を入れ始めたことがわかりましたね。

【後編】ではいよいよ本題である、グローバル教育の現状と課題、そしてSTEAM(STEM)教育についてご紹介していきます。

グローバル教育の現状と課題

出典:photoAC

1. 個別最適化された学びをいかに公正に提供するか

今文部科学省では、AIなどの新しいテクノロジーを活用する取り組みをEdTechとし、学校教育の場で使用していこうとしています。子どもたちの学力をはじめとする全てのデータを教育ビッグデータとし、それぞれの最適な指導をしていくのが目的です。しかし、実際に使用するのには精査していかなければならない問題が山積みで、特に重要なのはすべての生徒がEdTechを使用できる環境作りにあり、学校間での差はあってはならないということです。

デジタル教育で成功している国ではすでに教育クラウドシステムを導入しており、エストニアでは教育クラウド「e-School」、インドでは教育クラウド「ePathashala」が導入されています。教師、親(保護者)、学生、地区の管理者で、プライバシーを守りつつ、透明性の高い情報共有と学習生活状況の相互管理ができるオンラインサービスです。

日本のEdTechでは、民間の学習塾も連携できるような構想が挙がっています。これが導入できれば、教師の負担(紙でのテスト/採点)が下がり、教育の本質を教える時間の充足が期待できます。

2. 読解力などの基礎的な力を確実に習得させる仕組みをどう構築するか

AIのますますの発達により、「人間にしかできないこと」が重要視されていく中、読解力や数学的・科学的リテラシーなどの基礎的な力は特に必要不可欠です。

しかし、2015年OECD生徒の学習到達度調査では、数学的・科学的リテラシーは1位(35か国中)という結果でしたが、読解力については2012年に実施した際の1位から6位に下がってしまう結果となりました。

2018年、日本は上記の調査に参加しませんでしたので、現在のデータは不明ですが、読解力に危機感を持っていることは確かです。読解力を習得させるためにもEdTechの使用効果を期待していますが、全国で導入されない限りはこの問題も解決されません。

3. 高校から大学にかけての文理分断の学びをどう脱却するか

【前編】でご紹介したように、2020年の教育改革でより重要視され始めた21世紀型スキルには、コミュニケーション・スキルや情報・ITCリテラシーが含まれていました。プログラミング教育の開始からもわかるように、日本では今後理数系をますます強化していきます。

ここで問題となるのが、現在大学への進学に向けて、多くの高校では2年次より文系・理系と分けて学習をしていることです。文系を選択した生徒は理数系科目を充分に学ぶ機会がないまま卒業となり、それは大学進学後も続きます。高校普通科での文系の割合は7割といった実態もありますので、これは大きな課題となります。

注目のSTEAM(STEM)教育とは?

出典:photoAC

アメリカ発のSTEAM(STEM)教育

最近STEAM(STEM)教育という言葉が日本でも使われ始め、文部科学省の報告書にも載りました。STEAM(STEM)教育とはアメリカ発の教育方針で、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学)の頭文字を取ったもので、Artを含まずに使う場合STEM教育と言います。

STEAM教育は、児童生徒の数学的・科学的な基礎を育成し、技術や工学を応用することを目的とした教育方針のことです。

STEAM教育はもう始まっている

先ほど、日本では今後理数系強化に力を入れていくとお伝えしましたが、プログラミング教育も含め実はすべてがSTEAM(STEM)教育の一環です。

グローバル人材として人間にしかできない創造をするためには、AIを活用する力が必要不可欠です。しかし、【前編】からお伝えしてきたように、今の日本ではAI運用力の習得がまだ充分ではありません。AI運用力の育成を目的とするSTEAM(STEM)教育は、まさにグローバル教育の要であり、文部科学省はSTEAM(STEM)教育の導入を推進しているのです。

小学校からプログラミング教育や理数系強化をはじめ、高校で文理分断の改善、そして大学では全学生がSTEAM(STEM)系の専門分野を学部を超えて学べるような環境を整える、というのが現段階での文部科学省の構想です。

まとめ

さて、【後編】ではグローバル教育の現状と課題、そしてSTEAM(STEM)教育についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

まだ課題は残されているものの、国全体で理数系強化への取り組みが始まっていることがわかりましたね。プログラミング教育開始の背景には、このようなグローバル教育の実状があったのです。
今後この動きはますます本格化していくことが予想されますから、子どもには早い段階でプログラミングに触れさせておくということは確かな決断となるでしょう。

【前編】STEAM教育とは?グローバル教育の現状と課題

 

〈参考〉
文部科学省:グローバル化と教育に関して議論していただきたい論点例
国際開発センター:グローバル化時代の国際教育のあり方国際比較調査
国立教育政策研究所:OECD生徒の学習到達度調査(PISA2015)のポイント
文部科学省:Society5.0におけるEdTechを活用した教育ビジョンの策定に向けた方向性
文部科学省:初中教育ニュース(初等中等教育局メールマガジン)第335号(平成30年6月22日)
Wikipedia:STEAM教育
文部科学省:Society5.0に向けた人材育成

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