子供の英語教育、効果的な時期はいつ?どうやって言葉を覚えるの?【前編】
文部科学省が英語改革へ動き出したことを皮切りに、英会話教室へ通う子供の数は格段に増えてきました。
数年前までは「英語やってる?」という会話がよく聞かれていたと思いますが、最近ではもはや英語をやることは当然のこととして、「英語なにしてる?」といった会話がなされ始めています。
英会話教室にはまだ通っていないご家庭でも、何らかの形で英語に触れさせたことがあるのではないでしょうか。
英語教育に関して多くの情報が交錯する今だからこそ、一呼吸置き、子供の英語教育について一度整理をしておきましょう。
そこで今回は、子供の言語習得の段階や英語教育開始に効果的な時期、英会話教室の必要性、早期英語教育の弊害をまとめました。
【前編】では、言語習得の段階や英語教育開始に効果的な時期をご紹介していきます。
早期英語教育が必要といわれるのはなぜ?
「英語を始めるのは早いほど良い」というのはよく耳にする言葉ではないでしょうか。これは、早ければ早いほど英語習得が楽になる、という意味です。
母語である日本語の言語習得の段階は年齢とともに変化し、その時期が戻ってくることはありません。そのため、早ければ早いほど日本語を習得するように、より自然な形で英語を習得することができるといわれているのです。
〔一般的な言語習得の段階〕
1歳前後:言葉を話し始める
1歳半~2歳頃:語彙数が急激に増加し始める
2歳~4歳頃:目の前にないものでも言葉で表せるようになる
4歳~5歳頃:大人との会話が成立するようになる
5~8歳頃:言葉の分類や関係づけができるようになる。(犬と猫は動物の仲間など)
9歳~10歳頃:言語習得の臨界期
英語教育に効果的な時期はいつ?
1歳半頃から英語に触れておく
2歳~4歳にかけて、目の前にないものでも言葉で表せるようになりますが、これは頭の中で「赤くて丸い硬いもの」を想像したときに「りんご」という言葉が出てくるようになるということです。
つまり、これを英語の習得に当てはめると、「赤くて丸い硬いもの=りんご・apple」という図式を作ることが容易になるといえますね。
このイメージと言葉が確立する時期は一般的に1歳半~2歳頃から始まりますので、その頃から英語の動画や歌などを中心に英語に触れ、その中で英単語を知っていくのが良いでしょう。
ただし、日本語で考えるとわかるように、語彙はこの時期にしか習得できないものではありません。そのため、やらないよりはやっていた方が良いけれど、やらなくても大丈夫。といった捉え方が最適です。
育児の最も大変なこの時期に、まるでノルマをこなすような英語教育になってしまっては逆効果ですので、この時期は親が楽しめる範囲で英語を取り入れるくらいのスタンスでいることをおすすめします。
英語を始めるなら4~5歳頃
年齢を積み重ねるごとに日本語の語彙が増え、日本語で考える力が育つので、「自分は日本人だ」という意識が生まれ始めます。特に小学校に入学して学習活動が活発になると、ますますその意識は強くなっていきます。
そのため、小学校に入学する前の4~5歳頃のまだ柔軟に様々なことを受け入れられる時期が、英語学習の開始に最適な時期と言えます。
発音についても、まだ音素識別能力(12歳頃までと言われています)がある年齢ですので、正しい英語をたくさん聞かせてあげれば、正しい発音を身につけることができます。
この時期には英語の動画や歌に加え、英語の絵本をプラスし、可能であれば英会話教室などで外国人と英語を話す機会を設けることがおすすめです。
遅くとも10歳までに?
英語教育のスタートが中学校から小学校高学年に、そして小学校低学年にとなってきたのには、言語の臨界期が10歳前後であることも関係しています。
臨界期とは能力の基礎が確定する時期のことで、その時期を過ぎてしまえばその能力の習得が難しくなってしまうといわれています。
2020年から小学校3年生(8,9歳)で外国語活動が始まりますので、臨界期を考えるとギリギリのラインで日本の全ての子供たちが英語に触れられることになりますね。
しかし、この臨界期説には諸説あり、母語に臨界期はあっても第二言語である英語にこの臨界期は当てはまらないといわれることもあります。
まとめ
さて、【前編】では、子供の言語習得の段階や英語教育開始に効果的な時期をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。言語には習得する段階があり、4~5歳頃が英語教育開始に効果的な時期であることがわかりましたね。
【後編】では、英会話教室の必要性と早期英語教育の弊害をまとめました。
■小学校英語教育についてはこちら
2020年小学校英語教育の変更点と問題点!早期英語教育は必要?【前編】
2020年小学校英語教育の変更点と問題点!早期英語教育は必要?【後編】
〔参考〕
書籍:子どもの英語力を育てたいお母さんのための本:マスミ オーマンディ著
書籍:英語教師のための第二言語習得論入門:白井恭弘著
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